日本の森巡り第2回:日本の森で起こっている事、外材問題

2009-10-17移働する診断士

今、国土の1/4の森林は自分の身を守れなくなっています。それは人工林の大半の維持管理が出来なくなっている事が大きいのです。人工林は言い換えれば木材の畑(密植林)であるのですが、この状態は自然では起き得ないもので、こういった山を維持している為には、常に人が手を加えていかなければいけません。しかし林業の縮小から、現在放置された山(放置林)が増えています。

3.日本の森で起こっている事

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針葉樹林

◎放置林の問題

江戸時代以前は日本の多くの地域では広葉樹林の森が広がっていました。針葉樹林は明治以降に国をあげて行われた植林によって作られたのです。そして現在は日本史上、最大の木材量があります。しかしながら、放置林の増加に伴い、高齢化した(光合成もあまり行えなく保土力がない)うっそうとした暗い山が増えつつあります。こういった山は人も立ち入らないばかりが、崖崩れも起きやすく非常に危険な山でもあります。
また広葉樹林は針葉樹林より再生しやすいという事、針葉樹林は人が手入れをしていかないと保持できないという事、今日本のあちこちにお金がない為、放ったらかしになっている針葉樹林があることから、このまま行くと日本にある針葉樹林はいずれ広葉樹林に戻っていくことでしょう。

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広葉樹林

◎最大の木材量を抱えるけど

過去最大の貯蓄量がある日本の木材ですが、使ってもらえない木材でもあります。
それは、やはり外材という存在が大きいのと日本の林業が壊滅的状況にある事が大きいのです。
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林業の置かれている厳しい現実
50年前の1/3の立木価格、50年前と同じ丸太価格、40年前と同じ製品価格
労働人口の減少 40年前は26万人いた労働人口も現在は5万人(うち60歳以上が1万人)
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今まで述べて来た通りで林業の壊滅はその産業だけでなく私たちの暮らしにも繋がっています。

4.外材頼みの日本

50年前までは盛況だった日本の森林業界も木材の輸入自由化を景気に外材の脅威にさらされ、気がつけば建築業界は外材頼みとなり足下の日本の林業の衰退へと繋がっていったのです。

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日本を取り巻く森林の現状
H20の木材自給率は24%(100%自給できるのに外在依存度が高い)
・生産量はかわらないが全体の需要が減っている。
世界の森は、年間750万haずつ減っている。(日本の国土の2割)
・欧州、中国、日本だけが増えている
・アフリカ、南米は特に減っている
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逆に外材供給地は現在、発展途上国が主ですがそこでは、違法伐採が当たり前になっていたり、輸入の為に合法的に植生を大きく換えてるために原生林を伐採されたりしています。
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◎タスマニアでは
ナパーム弾により森を焼き払い、ユーカリを植えた。ユーカリは製紙会社への輸出用

世界ぐるぐる〜紙のお話
タスマニアの森の話

◎ロシアでは
汚職による赤松の伐採で、森の気がなくなり凍土が融け沼が増え、マラリアが流行った。
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日本では自国で木材供給が100%なのに、こうして他国の山を荒らし、自国の山も荒らされるおかしな構造となっているのです。

次回はこうした日本の山を守り活かす為の話をしていきます。

日本の森巡り

第1回 森林がなぜ必要なのか、日本の森の現状
弟2回 日本の森で起こっている事、外材問題
弟3回 森と建築の活用、森を巡る旅へ