再構築という言葉から国際化を考える

2023-01-07移働する診断士

再構築補助金の申請支援の話が年末から出始めていたので、ちょっとずつ対応を始めています。この再構築補助金というのは一昨年の4月にコロナ対策として導入された大型補助金なのは多くの皆さんがご存じのことかと思います。私も何件もこの補助金を活用した事業計画の支援をしてきました。
これ以前は補助金といえば、新商品、新サービスを導入するための「ものづくり補助金」、広告宣伝を主とした「持続化補助金」、ITツール導入による生産性向上を目指した「IT補助金」が真っ先に浮かぶところでした。それ以外には、東京都なら創業時に活用できる「創業助成金」や事業承継の時に利用できる「事業承継補助金」などもよく名前を聞きます。

では、再構築補助金とは何者でしょうか?
再構築補助金サイトの事業概要では、以下のとおり書いています。

 本事業は、新型コロナウイルス感染症の影響が長期化し、当面の需要や売上の回復が期待し難しい中、ウィズコロナ・ポストコロナの時代の経済社会の変化に対応するために新分野展開、業態 転換、事業・業種転換、事業再編又はこれらの取組を通じた規模の拡大等、思い切った事業再構築に意欲を有する中小企業等の挑戦を支援することで、日本経済の構造転換を促すことを目的とします。

事業再構築補助金 第8回公募要領 より抜粋

この中で、注目したいのは「日本経済の構造転換を促すこと」の部分でしょうか?コロナ以前から世界の流れは予測不能なくらい早くなっています。このことをVUCAというそうです。V(Volatility=変動性)、U(Uncertainty=不確実性)、C(Complexity=複雑性)、A(Ambiguity=曖昧性)の頭文字をとって繋げた言葉ですが、このような中、世界に目を移すとIT化に力を注いだ国、スタートアップを積極的に支援している国、社会構造を大きく変えようとした国など、変化に対応するために積極的・戦略的に動いてきた国が多くあります。では日本はどうでしょうか?いまだにIT革命以前の習慣を守りながら緩やかに変化を受け入れようとしてきたように見えます。そして、気がつけば諸外国にさまざまな面で追いつかれ抜かれ始めています。(特にIT活用では顕著です)

コロナはそのような緩やかな変化を変える一つのきっかけにはなったのではないでしょうか?以前からリモートワークがこれからは主流になるのではという話をしていましたが、なかなかそれが進む系はがありませんでした。しかし、コロナによるステイホームから一気に進んだ感はあります。また、公共機関での印鑑廃止やペーパレス対応もコロナに伴い進んだと思います。自ら変えることがなかなか難しい日本ですが、このような外的要因で大きく変えることには柔軟なのではと感じました。

事業再構築補助金は、「ウィズコロナ・ポストコロナの時代」としていますが、これは決してコロナを乗り越えるためではなく、この20〜30年で遅れてしまった日本の社会構造を変化させるために国だけでなく各事業者自ら変わってほしい、そのために補助金を活用してほしいというメッセージだと私は考えています。逆にいえば、コロナが来なくても「構造転換」は必要であったと思います。なぜでしょうか?それは、日本に住んでいても国際化の波にさらされているからです。「国際化」と言うと以前は、事業者が海外で事業展開をすることを指していました。しかし、今は街中の商店でも「国際化」しなければならなくなりました。それは、社会全体が国際化され始めているからです。例えば、ウクライナとロシア情勢の影響による原油高、世界的な物価高の影響は瞬く間に私たちの日常へ影響を与えました。また、コロナ後、中小企業で一番明るいのはインバウンドを相手にする業界です。海外からの来訪者は一番の顧客に変わりました。(この利益を国内へ還元できるのが手っ取り早いかも)

抜粋の中あにある「当面の需要や売上の回復が期待し難しい」は今までのビジネスモデル(=日本国内前提のやり方)では限度があると捉えられます。そして「経済社会の変化に対応」こそが、国際化の部分だと思います。そう言った意味では国際化は全ての事業者が念頭に置かなければならいのではと感じています。半分こじつけではありますが事業再構築とは国際化のために今までの経営資源を活用して事業を立て直すこと言えるのではないでしょうか?

と、補助金を活用するときの話を書こうと思ったらちょっと話が国際化の方へそれてしまいました。(昨日は融資には計画が必要と言う話だったので、補助金申請でも必要な計画の話を近いうちに・・・・)