車検証の電子化について

移働する診断士

ノルウェー南西部にあるスタヴァンゲルという街で、車がナンバープレートを盗まれたり、他のナンバープレートが貼り付けられているという事件がありました。自動車の盗難ならわかるのですが、ナンバープレートのみを外したり、ナンバープレートを付け替えたりと言うのは、特段、犯人側に利益があるわけではないので、愉快犯ではないかと思います。(当事者にとっては、大変なことですが、ちょっと不思議な出来事です)

ただ、車のナンバープレート自体は車の存在を証明するものなので、これがないと誰のものかが一時的にわからなくなります。一種、車のIDカードのようなものですね。日本で言えば車検証がそれに当たるかと思います。ちなみに、この車検証多くの場合は車のダッシュボードに入れておく(正確に言うと、自動車の運行中は車検証を携行することが義務付けられている)ため、自動車盗難時には車検証も手元になくなってしまいますね。

一方、自動車自体の身分証明的なものとしては、車体番号というものがあります。こちらは、自動車にとっての生体識別情報にちかく、車の通常見えないところに刻印されているようです。これがなぜあるかというと、その自動車がいつどこで作られたがわかるため、盗難された時にその車体の判別がつくことや、事故車であったかなど(中古車流注ではかなり重要)の確認にも使用されるようです。そのため、改竄できないように、車体に直接刻印やプレートに刻印されたものがリベットで打ち付けられていて、その場所は専門家でないとわからないような場所(ボンネットの各種機器の裏側とか、ブレーキがある車体の箇所や、座席の下の鉄板部分)にあるそうです。

とは言え、車検証を見れば書いてあるので、自分の持っている車の車体番号を知ることは簡単です。逆に、この車体番号と車検証で車の存在を証明しているとも言えますね。

さて、この自動車の車検証が電子化されています。

電子化といっても、完全に物自体がなくなっているわけではなく、パスポートや運転免許証と同様に、車検証自体にICタグが埋め込まれている形式なので、持ち物が減るという形にはなっていませんが、大きな変化ではありますね。

サイズもA4からA6への変更なので、単純に約1/4とコンパクトへ、記載内容も基本情報のみとなりそれ以外はICタグ内での記載となり専用アプリで読み取ることになりました。運転免許証の本籍地記載と同じ感じですね。

これで何が変わるのかというと、車検証は同じものを使い続ける形となり、更新時に変更となる情報はICタグ内の情報を書き換えるだけになります。これは、陸運支局側と車検を実施する整備工場の間がオンライン化されるので、わざわざ整備工場の方が、陸運支局へ車検証の交付をしてもらいいかなくても良くなくなります。

車検証を紙発行しなくなることと、人や車の移動する距離も減るのと、人手も不要になるのでSDG’sな取り組みと言えますね。

ただ、先ほどの通り、車を走行するときには携行しないといけないので、ICタグつきの車検証を車のダッシュボードに据え置くことは引き続きとなります。この辺りも、自動車の電子化が進めば、自動車自体に情報を送り込むことで対応が可能なると思います。そうすると、車検証自体が不要となり、自動車に読み取りをかざせば車検情報がわかるのかもしれませんね。(当然、その場合はセキュリティー面での対策も必要になる気はします)

これを一歩進めると、駐車場の月極契約の時の活用や特製車両のみ通行可能な自動車レーンの設置などにも繋がってきそうな気はします。

そこまでいけば、ナンバープレートが盗まれたり、交換されたりしても問題ない世界になってくるかもしれません。