利益は全てを好転させる

移働する診断士

よく融資相談で、「どのくらい借りられますか?」って聞かれることがあります。

こう聞かれると、「本当に必要なのはどのくらいですか?」と聞き返しています。融資の相談に来る時点で何かしら必要があってくるので、そこの目安をどう考えているのを知りたいからです。

一番ブレないのは、設備に対する融資ですね。この場合は、見積書が必要になるので自ずと必要な資金額は決まってきます。もちろん、その設備導入にまつわる諸々の計画があってのものにはなりますが、一番シンプルなのは設備の買い替えの場合でしょうか?

運転資金の場合は、何かしらの理由で資金繰りに困っているケースがほとんどだと思います。(特に窓口の相談に来られるケースでは)前向きな例でいけば、事業拡大したいので、人件費や仕入れを増やさないといけない、で、後ろ向きなのは、経営状況が厳しいので次の入金までの固定し支払い分が必要という場合ですね。まれに、借りれる時に借りておいて安心したいから貸せるだけ貸してと言われるのですが、こういうケースは基本資金繰りには困っていないので、金融機関と直接交渉してくださいとなります。

この時に、どのくらいの金額が適切かといえば、目安として運転資金は月商の3〜6ヶ月分と言われています。ただ、あくまで目安なので、融資が降りるかどうかは各事業者ごとの状況によってきますね。

日々、融資相談を受けていてよく思うのが、営業利益がない状況が続いている会社が多いこと。融資を受ければ、当然返済していかなければなりません。この返済金をどこから捻出できるかといえば、基本は営業利益となるわけです。なので、営業利益がマイナスな決算書を提示されると、ちょっと判断の時の意識的なハードルが上がるわけです。

当然、会社の収益は税引き前利益が最終結果とはなるのですが、現在の融資は返済が長期に渡ることが多いので、年月が経ってもあまり変動しない営業利益ベースで考えることが多いです。(もちろん、現預金がそれなりにあれば融資は受けやすくなりますが、あまりにも多いとそもそも必要となる)

とはいえ、この数年はコロナで状況が厳しい事業者が多いため、営業利益が出ている決算書の数が減ってきています。特に、コロナに始まる外部環境悪化に対する経営支援策的な融資の場合は、営業利益が出ていない事業者が活用するので単純には何段できません。この時に有効かのが、それぞれの事業者がどのように売り上げを戻していこうと考えているのか?になります。特にコロナも五類になった今は、先行きもある程度見えてきているのできちんと考えておく必要があります。(逆にいえば融資の審査も厳しめに見られるようになってきた)

「今は厳しいけれど、こういう策を打つことで、3ヶ月後には売り上げをこう戻して、利益はこう出るよ。それが1年後にはこうなるので、融資返済が可能になるよ」ということを伝える必要がありますし、それを実行していくことも求められます。

では、どう利益を出していけばいいのでしょうか?経営されている方の頭の中には

利益=売上ー原価ー販管費

が入っているかと思いますが、方法としては売上を上げる費用を下げるかの二つです。
売上を上げるためには、客数を増やすか客単価を上げるかが必要となります。これらを上げるためには営業活動(広告宣伝)が必要になってきますし、新しい商品やサービスもそれに貢献しますね。また、商品力があるならば思い切って値段を上げるのも一つの方法です。先日の白書のところでも触れましたが、事業が川上であればあるほど価格転嫁していくことが必要になります。ただ、あまりあげすぎると顧客離れに繋がるのでこちらは注意が必要ですね。

費用を下げるためには、仕入れ原価を減らすために取引先を変えたり材料を工夫したり言ったことと、販管費にメスを入れることが可能です。特に販管費は見えにくくなっていることが多く、手をつけ始めていると意外と効果的だったりします。ここは、余計な費用を節約していくことが重要ですね。逆に人件費はなるべく最後に手をつけるのが一般的だったりします。

こうして、利益を確保していくことで、余剰金を出せることで会社としても安心できる状態になりますし、何かの時の融資も引き出しやすくなります。なので、税金対策で変に決算を悪くするのも良くなかったりするのです。この辺りの匙加減は難しく、何を優先するかだと思いますね。