ヒト モノ カネの交差点

移働する診断士

事業を進めるにあたって、成功するしないの鍵となるのが、この三つの有形資産というのを最近改めて感じています。

「中小企業は無形資産を大切にしましょう」ということで、知的資産経営に着目はしていますが、この三つの有形資産がないと事業自体は何も進まないのは事実です。なので、やっぱり有形資産は潤沢に・・・・とは言いませんが、必要な文だけはないと何も進まなくなります。

でも、中小企業は大企業ほどにこれはないので、どうするのかというと、特化して連携するのがいいと思います。

たとえば、ヒトが足りないならば、その人に求める役割を他者から調達します。最近だと業務委託してくれるケースが多くなっています。例えば、営業代行とかシステム開発、総務サービスを提供してくれるところもあります。特に人手不足が深刻な今、少ない人員でいかに事業を進めるかは重要になってきています。

モノが足りないならば、借りればいいと思います。シェアリングエコノミーがこの10年でだいぶ進んできました。例えばコワーキングスペースやシェアオフィスは、賃貸料を削減できます。車や建機の連絡はだいぶ前から進んでいますね。製造業の場合はどうしても生産機械は必要ですが、特殊な加工などであれば自社で持たずにできるところへお願いしてきました。これと同じことがサービス業でも増えてきています。例えば、IT機器はクラウドサービスを活用すれば自社でモノを持つ必要はありませんね。こちらは、SDG’sにも貢献すると言われています。

最後の、カネは事業の潤滑油なので言わずもがな・・ですね。何をするにもやはり資金は必要になります。資金がないとしたいこともできない。そのためには、事業でいかに収益を出していくかが重要になってきます。基本的にはベースとなる事業で収益を生み出して、その余剰で様々な新しいことにチャレンジしていくのがいいのですが、これは言うは易し、行うは難しの典型的なところかもしれません。

この、有形資産を揃えることが年々難しくなってきています。なので、中小企業同士の連携を考えていってもいいのかもしれません。この発想自体は特段新しいことではなく、昔から製造業、特に町工場の世界では行われてきたことかと思います。また、会社というものが成立する以前の職人の世界も似たような部分があると思います。西洋で言えば中世のギルド的な世界です。

ヒト不足の一つとして、労働人口の減少もありますが、人々の仕事に対する意識の変化もあると思います。戦後の家族的な会社という世界が、だいぶほぐされ、就職してからずっと同じ会社に勤める人の割合が下がっています。この背景には人、一人一人の自己実現欲求が高まった部分があると思います。自分のスキルをのばして、さらに上のレベルの仕事につきたいと思う層が増えたということです。特定なことができる職人が増えてきたとも言えますね。

会社と経営する側の立場からすると、社員という存在さえも不確実性の高いものだということです。なので、一つの事業を進めるためには、ネットワークを作っておくことが今まで以上に重要ですし、常にネットワークを作り続けることが経営者には求められてきているとも言えます。このような社会に今あるということです。

有形資産を自社でのみで潤沢に持つことは難しいので、自社が属するネットワーク(コミュニティーという言い方の方がいいかもしれませんが)でヒト、モノ、カネを持てるように協力していくことが求められてきているとも言えますね。

では、無形資産はどう使うのかというと、有形資産の三つを揃えつつ、無形資産で差別化していくのがこれからの中小企業の戦い方になっていくのではないかと思います。(中小企業にとって、有形資産での差別化が難しいので)