計画を作るということ(その1)

2023-01-19移働する診断士

以前から「計画を作りましょう」とこのサイトで書き続けてきましたが、口で言うのは簡単。作るのは難しいのが計画というものではないでしょうか?私も、創業融資の計画作成をよくお手伝いしますが、みなさん見本はあるものの、自分の頭の中にあることを落とし込むことに結構時間がかかります。(それが、金融機関向けになるとなおさらですね)

創業を例に例えると、多くの人が利用しているのが日本政策金融公庫の創業計画書ですね。こちらの3 創業計画書です。中を見るとわかるのですが、B4一枚サイズでスッキリ書かれています。この中に創業時に考えておくと良い要素が揃っている形ですね。空欄を埋めるだけならそれなりに書いていくことが出来るのではないでしょうか。これが、創業助成金や持続化補助金の創業枠といった事業内容をしっかり審査されるものになると、途端にハードルが上がってきます。各要素も肉厚にしていく必要があります。とは言え、創業の背景には様々な想いがあるでしょうから、そこを中心に作っていけばいいと思います。また、各自治体の制度融資でも創業に手厚くしていますが、その創業計画書は数ページのものが多く、公庫と各補助金の中間レベルだと思います。これらのケースでは資金獲得が目的で計画を作るでしょうが、自己資金が十分あり事業を進める場合でも事業計画書は作っておくと、自分にとっての道標になるのでいいと思います。

また、創業でない場合で事業計画書が必要になるのは、新規事業を始めるときや、事業がうまく行かずに立て直しを図るときが多いと思います。そういう必要がない場合でも、創業と同様に道標として事業計画は役に立ちます。中堅以上の企業ではよく「中期経営計画」といった名前であるものです。

その計画書ですが、計画通りになることは少ないと思います。

じゃぁ、作らなくてよいかと言えば、作っておいたほうがいいです。

日々の経営は判断の連続です。その判断は経営者の頭の中にある目標に対して行われていることがほとんどです。この目標が頭の中にあるだけでは、異なった判断をしてしまうこともあります。そういう時に、計画として明文化されることで原点に立ち返って冷静に判断することが可能になります。また、従業員がいる場合は、目標を共有することが可能になります。そうすると、経営者の判断一つ一つが従業員の目からも一貫性のあるものに見えてきます。

ただ、この目標は絶対というものではないので、環境の変化に応じて行く必要があります。だからこそ計画通りになることが少ないとも言えます。私が、計画策定のお手伝いをするときには、1,2年目はそれなりに状況が見えているので実態に合わせて作っていってもらい、3年目以降は夢を描いていいですという話をします。そう考えると「中期経営計画」を3年毎に策定するというのは見える範囲で計画を立てているので理にかなっているとも言えますね。企業の中期経営計画をみていると、その計画の更に上位として長期計画があるケースが多いです。こちらは10〜20年スパンで企業の夢を描いている部分です。さきほどの「3年目以降は夢」の部分がこれに該当します。

ここから、計画を立てるときには2つの思考が必要です。一つはForcast「フォーキャスト」として、現時点から未来を考えていく思考です。そして、もう一つがBackcast「バックキャスト」として、未来から現時点を考える思考です。この2つの視点から事業計画を立てていくと、先程の長期計画と中期計画をすり合わせながらなにをしていけばよいのかを導き出すことが可能となります。もっとも、計画は1度立てたらおしまいではなく日々の変化の中で見直しを何度もしていくことは重要ですけど・・・

では、どのように立てていくとよいのか。通常のノウハウ講座ではなくかなり我流な考えですが数回に渡って書いていきたいと思います。

第2回