計画を作るということ(その12)デザインシートのこれまでとこれからを繋ぐもの
年明けから始めてきた「計画を作るということ」シリーズですが、気が付けばもう3月で梅の花や桃の花がさいてだいぶ外も賑やかになってきました。さて、今回もデザインシートの作成の続きです。(計画を作るということでシリーズにしていましたが、デザインシートだけで別にしたほうがいいかもしれませんね)
これまでは、デザインシートで「これまで」と「これから」のパートを作成してきました。今回は、この二つの時間を埋めるためのパートになります。
デザインシートでは「移行戦略」と書かれた部分です。どんな事業計画でもその計画を実現するためには「戦略」や「施策」と言われるものが必要になります。この内容を考える時のセオリーとして、未来と今のギャップを埋める作業を行うと言われています。まさにこの部分をビジュアル化しているのが経営デザインシートの真ん中の部分に当てはまります。ここの埋め方として、今から未来へ到達できるかを埋めていく考え方がフォーキャスト、未来に到達するためになにをすべきかなのがバックキャストと考えればいいかと思います。どちらがいいというのは、その事業の置かれている環境に依るというのは何度もこの場で書いてきた通りです。おすすめなのは、適する方(ジャンプしたいならバックキャスト、明確な課題を潰すならフォーキャスト)から考えてたあと、その逆を試してみて実現可能かを検算しることです。この検算の時に無理があったら「これから」の部分を調整していくやり方になります。ただ、この「無理」というのを何をもって判断するかは結構難しいところだと思います。その判断の一つとして、一つ一つの事柄に対して説明がつくかどうかから考えていくのは、目安になりますね。「〇〇は△△だからすることが可能である。」という感じの文章に落とし込めるかどうかです。この時に厳しくしすぎるかゆるくしすぎるかは、その計画を立てる人に依存するので、可能であれば第三者の意見を聞いてみるのも良いと思います。ただ、あくまで主役はご自身なのであまり他人の意見を信じすぎるとチャンスを失うかもしれないことには注意が必要です。(ここの塩梅については明確な答えなんて誰ももっていないので石橋を叩きすぎて割らないようにできればいいかと思います。)
この移行戦略ですが、最初に参考として「これからの外部環境」として、どういうチャンスがあるのか?リスクがあるのかを考えます。これから挑戦しようと考えている市場がどうなのかという視点で見ることになります。(事業再構築補助金の申請で市場について書きなさいという部分はここが該当します)
次に、「移行のための課題」は、未来に向かって自社がどのような状況になっていくことが望ましいかを各部分になります。ちなみに、ここは賛否両論あるのですが、「問題」と「課題」の違いについて少しだけ。わたしが診断士試験の勉強の中で言われたのが、「問題」は過去から今の状況の中で出てきたマイナス点を指し、「課題」は未来にどうしていくのかを指すということでした。事業拡大したいが人手不足を問題とすると、課題は事業拡大を成功させることとなります。なので、この「移行のための課題」はこれからの姿を目指す上でのあるべき姿を並べていくことをイメージするといいです。
「必要な資源」は上記課題達成のために必要な経営資源になります。前回お話しした通り知的資産の観点で考えるとわかりやすいと思います。また、ここで出てくる経営資源は、これからのところで抽出したものが該当するケースもあります。今はなくて未来に必要な経営資源という捉え方ですね。
最後に、「解決策」の部分が、いまから未来に向かって進めるために必要アクションプランの部分になります。我々が事業計画を立てる時には、この解決策の部分を多面的に捉えるためにある程度のカテゴリーフォマットにそって考えることが多いのですが、デザインシートの場合はそこまで細かいレベルよりは、感覚で何をしていくべきかを記載していければいいかと思います。
これで、デザインシートの作り方について一通り説明しました。通常の説明に比べると抽象的な文章になっているのは、デザインシート自体は発想を広げるためのツールなのであまりルールに縛られて書くのが望ましくないからです。また、デザインシート自体はどんどん見直されていくものなので、まず最初は試しに作ってみてそれをブラッシュアップしていくのがいいと思います。