日本の人口危機〜ノルウェーから考える

ノルウェー

ノルウェーのニュース記事から気になったモノを定期的にピックアップしていきます。

今回は、「日本の人口危機:ー今後6〜7年が最後のチャンス」という記事です。

この中で、岸田首相が「私たちはもはや社会として機能できなくなる瀬戸際にある」と発言したことを念頭に、日本の人口のうち、10人に1人が80歳以上(10%)に達した反面、昨年の出生者数がわずか80万人、65歳以上の人口も全体の29.8%以上と全世界で一番高齢化が進んでいる国だと紹介されました。この状況に歯止めがかからない理由は、厳しい雇用市場と先が見えない社会変化と若者にとっては厳しい環境になっていて、結婚や出産を先延ばしにしていることであるとしています。

長生きすること自体は悪いことではなく、それだけ医療技術が進んでいるからですが、生まれることもが少ない状況が負のスパイラルに陥らせてしまっているを改善しなければいけないとしています。そのためには、労働者移民の受け入れを進める必要があるが、一方で難民の増加につながる懸念もあるとのこと。この判断ができる最後の時期がこの6〜7年で、ここを見誤ると日本は世界の労働市場からも見放されるリスクが大きいということでした。

そして、海外でこの様な記事が注目されるのは、ノルウェー(この場合)でも少子高齢化が進んでいる背景があります。実際に高齢化の割合急増に対して、2019年の年初の首相スピーチでもノルウェー人にもっと子供を産む様にと求めたそうです。ただ、日本まで深刻化していないので、ノルウェーでは介護する労働力としてロボットを使用した新たなソリューションを検討し始めているとのことでした。

この記事から感じたのは、日本にいると茹でガエル状態でこの高齢化が深刻だというのを感じつつも今の状態で何とか社会は維持できてしまうのではないかと感じてしまうことです。でも現実はその表に優しいわけはなく、店舗に行くとどこも人手不足で十分な顧客サービスを提供できなくなってきています。求人をかけても人が来ない状況は年々深刻化しています。介護の面でも介護施設の受け入れが間に合っていません。ある程度貯蓄がある方ならまだいいのですが、十分な介護サービスを受けられず、自宅での老老介護や、介護のために離職する働き盛り世代も出始めています。

数年前に介護領域で海外からの労働者受け入れを決めてはいましたが結局は制度自体が厳しすぎることと、労働環境が外国人には厳しすぎるために帰国されてしまい、施策としては失敗したと言えざる得ない状況です。

と、厳しいことばかり書いても仕方ないのですが、これに対して最後のチャンスとして海外からの労働移民受け入れに頼らないと社会が回らない状況になっていることは認識する必要がありそうです。一方でチャンスとしては日本のインバウンド需要が急回復していることです。この背景には日本文化と言う他国にはなく日本人がなかなか気づきにくい無形資産の強みがあると言うことと、経済的に弱い国になってしまったことが、逆に日本は買い物天国(物価が世界でも安い国)なので、日本へ行こうと言う需要が生まれていると言えます。前者は世界に誇れますが、後者はこのままではいけない部分です。でも、今は目を瞑ってこれをチャンスに捉えて、海外からの資金をうまく取り込み、社会全体の経済循環を双葉美回す起爆剤として活用していけばいいと思います。また、今の状況なら製造業をはじめとする日本製を世界へ輸出することも有利になってきます。この様に、状況としてはチャンスが巡ってきているのですが、それを回すための人材が不足していることがいちばんの弱みになっています。やはり、労働者をどう確保するのかの判断が迫られていると言うことでしょう。