どのくらい借りられるの?
融資相談を受けていてよく聞かれるのが「どのくらい借りれますか?」という質問。
あと、決算書を見せられて「この内容だと保証枠はどのくらいでしょうか?」という質問もよく受けます。
クレカの場合は与信枠が明確に決まっていますけど、融資は会社ごとに保証枠が決まっているわけではなく、制度としての枠があるだけなので、枠があってその枠の範囲内なら借りられるというわけにいかないのが難しいところなのです。なので・・・
これについては明確な答えはありません!
と言ってしまうと終わってしまうのですが、つまるところ「未来に向かって返せるかどうか?」を借りる人と貸す人、保証する人の3者で納得できればとなります。
でも、目安はあります。今回はこの目安に考え方についてです。
返済金額から判断
ある程度経営状況は安定していることを前提に返済が営業利益の範囲内に収まるかから考えます。例えば、1000万円の融資を5年返済とすると、返済回数は60回になります。1000÷60=16.6なので毎月の返済は約17万円になります。
この17万円を月の利益で出せれば問題ないと言えます。ちなみに、融資には利息支払いもあるのでそれを費用に含めた上で計算してください。ただし、月の利益変動が大きい場合は決算書から月平均を出していければいいでしょうかね。もちろん、返済期間を延ばせば月当たりの負担は減るので返済できる金額は大きくなっていきます。
売上規模から判断
そこで、もう一つの考え方として、月商の何倍かという見方もあります。運転資金であれば月商×3〜6ぐらいでしょうか?この両面から融資額が適正かどうかを数値上は判断することができます。
融資目的は?
もう一つが、融資目的です。今が苦しいからそこを乗り越えるための運転資金としてなのか?新しいことを始めるにあたっての資金なのか?一時的に必要な資金なのか?で判断基準も変わってきます。
例えば、苦しい状況を乗り越えるための運転資金である場合は、現状の決算状況も当然悪いため、今後どのように改善していくのかが必要になります。そのためには、金融機関に対して今後の収支計画を提示してあげるのがいいと思います。特にコロナ融資の大半はこの状況に該当すると思いますが、特に緊急ということでそれほど多くの計画をもとめられなかったケースもありました。ただ、これは本当に緊急だったからで、本来は今後の改善計画を示していくことが必要です。なぜなら、この計画がないと金融機関も融資して問題ないかの判断ができないからです。特に、決算書類で利益が出ていない場合は融資を受けることが難しくなります。
新しいことを始めるにあたっては、運転資金だけでなく、設備資金も必要になるケースがあります。最近では各種補助金に関わる事業ややむなく事業転換を図るケースが該当しますね。この場合も、これまでの決算情報から今後の返済ができるかがわからないため、事業計画書が必要になります。この計画の中で、その事業をどのように進めていくのか、その事業でどのような収支計画を想定しているのか?それはどのような根拠からなのかを示していきます。
そして、一時的に必要な資金の場合としては、大きな取引のための仕入れや補助金が採択された場合のつなぎ融資の場合などがあり得ます。この場合は、金融機関と相談のうえ短期融資なのか長期融資なのかを判断していきますが、確実に短期で入ってくる場合以外はやはり、どのように返済していくかがもとめら得てきます。計画を作るまでではなくても、その部分は明確にしておく必要があります。
判断する情報を整理しましょう
金融機関や保証協会(あと、われられのような立場の人間も)は、与えられた情報がないと融資できるかどうかはわからないので、経営者の方がの頭にある情報をうまく伝えることが重要になります。
それをもとにさまざまな立場の人がさまざまな観点から判断しているので、融資が確実に可能な額と聞かれても答えられないわけです。
でも、そのためには、計画を含めた各種情報があれば伝えられるということですね。ちなみに、計画作らなくても担当者となんとなーく話していたら、通してくれたというケースがあることも事実です。その場合は、金融機関が、融資額に対して財務状況が問題ない(ないと言っても程度はありますが)と判断しているからで、その根拠として過去の信用や、これまでの決算、現在の経営状況、これからの見通しが含まれています。