診断士が身近にいるカフェ

移働する診断士

昨日は、以前から何かとさまざまな企画でご一緒にさせていただいている、早稲田にある我楽田工房の横山さんのところで、弁護士×診断士というテーマのイベントに呼ばれてきました。

このイベントは「弁護士カフェ」という名で始まったもので今回が第3回。弁護士相談なしの弁護士がいるだけのイベントとなっていて、毎回「弁護士×〇〇」という形で開催しています。前回は「弁護士×ドローン」でその時に「次回は診断士なので」と言われて開催とあいなりました。

では何か特別なことをしたのかというと、はい、何もしていません。弁護士もいて診断士もいて社労士(参加者の方でいました)という場で、夜7時からお酒を片手にのんびり雑談をする会です。
でも、こういうのが大切なんですよね。我々士業の仕事は日常的に必要とされなくて、困った時に相談されるものです。でも困った時に相談しようと思っても、なかなか見つからなかったりするので事前につながっておくと便利だよね、というコンセプトでこのイベントは開かれています。

さて、このイベントでふと思ったのが、実際にどのくらいの数の診断士が相談相手になるのだろうかというところ。軽く調べてみると診断士の登録者数は2万8千人ほど、ただ、独立して診断士をしている人の数は3割ぐらいと言われています。と考えると8千人ぐらい。中小企業数は420万社ほどと考えると一人当たり525社になります。こんな数の企業を一人の診断士が見れるわけありませんね。まぁ、これは極端な例ですが、そのくらい診断士の数は稀ということ。ちなみに、税理士8万人、弁護士4.4万人でそのほとんどが開業していると考えるといかに少ないかがわかりますね。稀なので出会う機会もありませんし、診断士に相談するという機会も少ないと言えます。

昨日も参加者の方から「診断士って何?」というお決まりの質問を受けました。「診断士はなんでもできるけど、なんでもできない」と答えました。これは、特定の独占業務を持っていないからです。法律だったら弁護士、財務だったら税理士・会計士でないとやってはいけません。でも診断士はその方面の知識を持っています。経営全般の専門家なのでなんでも知っていて対応方法はわかっていますが、その具体的な対応自体は各専門の士業でないとできないのです。なので、困っている経営者から見ると具体的に何かしてくれるわけでないので相談しにくい、お金も払いにくい。なので、診断士は使われず・・・なかなか独立してやろうという人が増えない。結果希少な士業になってしまう。の構図ですね。

以前から何度も言っていますが、診断士は事業者にとっての「町医者」にあたります。全体的に診察して、必要な専門科を教えてくれます。患者が内科へ行けばいいのか、耳鼻科へ行けばいいのかを判断してくれるのです。でも実情は全て税理士や弁護士に相談しているケースが多くあります。そのおかげで各士業の方の中でも知識を深めている方もいらっしゃいますが、経営自体の専門家ではないので相談できる範囲にも限度がありますし、我流な対応になってしまい、本来すべきことができていないということになるケースもあります。耳の調子が悪いのに内科に行ってたくさん薬を出してもらってもなかなか治らないのに似ていますね。でも、それが今の日本の企業支援の実態だと思います。(これは支援している中でも類似の話を聞くのでよく感じます)

要するに、経営者にとって専門家の立場で寄り添って話を聞ける人に出会えていないと言えますね。なので、この稀な診断士に会う機会があったらそれは運がいいとも言えます。

困っている企業ほどお金がないものです。なので、今は公的機関が無料で診断士を派遣してくれる制度がたくさんあります。まずはこういうのを活用するのもいいですが、支援できる範囲には制約がつくのと、支援する側も限られた時間しかないので、本来見るべきところまで行けないこともあります。なので、どこかで診断士とつながっておくことはいいことだと思います。

昨日の弁護士カフェではそんなことを感じました。これ、別の流れでも作っていけないかと思いましたね。