【この一冊】家のきおく:子供たちに伝えたい家の本

2009-08-30移働する診断士

「子供たちに伝えたい家の本」というシリーズがあります。このシリーズは建築家が一つのテーマについて自らの思想を子供たちに解りやすく伝えようとしているシリーズですが、大人が読んでもおもしろい内容なので今回紹介します。今回読んだのはみかんぐみの「家のきおく」という版画絵本です。

書籍情報

みかんぐみ, 加藤朋子
発行・発売:
インデックスコミュニケーションズ
年:
2004
ISBN:4-7573-0275-4
価格:

¥ 1,680 JPY

この一冊

本の構成

この本のコンセプトは「家のきおく」をとおして、「自分が生活する場所の事を考える楽しさ」を知ってもらいたいということです。

前半は、みかん組の4人それぞれの子供の頃の住んでいた家についての思い出の一場面を次々に一ページに簡潔にまとめられているページが続いていきます。

子供の頃の生活の場である住宅を舞台にこんな遊びをした、あんな遊びをしたといった文面が続きますが、子供は何でも遊びに変える天才という事とそう言った遊びの中からみかん組の建築の発想へ繋がっている何かを感じ取ることができます。それにしても、子供は子供也に親が工夫して家を住みやすくしようとしているのを観ているのだと再認識しました。(自分もそうだったのですが)

後半では、みかんぐみの作品紹介がつづきます。こちらは書く作品のコンセプトを子供にも解るように、それぞれの住宅についてどのような住まい方の工夫をしていく事を考えていったかがポイントを絞って紹介されています。これを読んだ子供が将来建築を目指す事になるかもしれませんね。最後にみかん組へのインタビューがあります。

所感

この本を大人が読むと、自分の子供の頃へタイムトラベルします。自宅や近所がどんなものだったのか?居心地の良い場所づくりを親はどうやっていたのか?その空間で自分はどう遊んでいたのか?忘れていた身近な生活の場のあれこれを考え始める楽しさがあふれて来たらつぼにはまったという事。読者の数分だけこの本のページは増えていきます。

これを読んだ子供が大人になった時に自分の住む場所に対してもっとあれこれ考えながら楽しめる大人になれたら素晴らしいですね。また、子供向けの本という事ですが大人にとっても、どんな住宅が自分たちに取っても子供にとっても住みやすいものになるのかを考えるきっかけになる本かも知れません。値段と間取りだけで家を作るのでは無く、住んでいく中で自分たちで工夫が出来る家を造れたらそれは楽しい事ではないでしょうか?