どこへ行っても人手不足

移働する診断士

春が近づくと、大手企業では今年の新入社員の受入が本格化してきます。そして、来年卒業の採用も山場がすぐにきますが、この流れは西洋ではないとか。(日本独特と書こうと思いましたが、東アジアも同じかもと思ったので)

一方で中小企業はというと、新卒採用を毎年するところは少ないです。これは、そもそも社員数が少ないので、必要になったら雇うからですが…(もちろん、事業拡大中の企業や、人の出入りが激しい企業では毎年採用というところもあります。)

さて、景気悪化になると失業が増えるなんて子供の頃に学校で教えられたものですが、最近の日本の状況はそれと明らかに違いますね。景気が悪くても人手不足…
失業率もコロナで一時的には上がったものの、この20年では減少傾向にあります。
(1980年が2.02%で、一番高かった2002年で5.36%、2022年は2.55%)
高齢化が進んでいるので当然と言えば当然とも言えます。ただし、こちらのデータは労働力人口に占めるとあるので、家計の影響で統計的には本来は働かないとされるこの失業率に出てきていません。なので潜在的にはもっとある気がしています。

人手が足りてない
街中でも人手不足と感じるのが飲食店ではないでしょうか?昼時で混んでいるお店でも少ない店員なので、なかなか注文を取ってもらえなかったり会計も待たされたりします。郊外のスーパーのレジ打ちとかであれば、働きたい主婦層を取り込めているのでそこまで人手不足だとは感じませんが、さまざまなサービスや製造の現場では人手不足で待たされるケースが顕著になっています。

相談窓口にいても、支援の場でもよく聞かれるのが、やはり「人手が足りない」という言葉。この「人手が足りない」には2種類あると思います。一つが、人手を増やしたくても増やせるお金がないケース。特に景気悪化の皺寄せを大きく受ける中小企業では、物価高による値上げなどの循環も最後に回ってくることが多いので深刻です。また、コロナによる打撃も受けているのでその回復を待たずにこの状況は相当厳しいと思います。

もう一つが、募集をかけても採用できる人がこないケース。
こちらは、応募する人々が中小企業よりも安定を求めて大企業を選択することが特に若者では多くなっているのと、システム化されているので安心して働けると思われている部分があります。それでも、会社の魅力を高めることでうまく採用を進めている企業もあります。求職者にとってはやりがい等はもちろん、ワークライフバランスが整っているかは重要になってきています。求人サイトも多数ありますし、基本はインターネットを使ったものにシフトしています。そのため、膨大な求人の中から自社のものを入ってもらいたい人に見つけてもらうのは難しくなっています。求人サービスもお金を払えれば払うほど、その露出度を高めることができますが・・・簡単ではありませんよね。販売のための広告宣伝と同じことが起きているように感じます。こう考えると、自社の労働環境を差別化知ることも必要ですね。
製造業で顕著なのは、特定の人に依存した仕事。こちらは高齢化でいつかその人がいなくなってしまうと、事業自体を続けることが難しくなってしまいます。最近ではアパレル製造業でコロナの影響と物価高により国内回帰が進んだものの、製造できる人材不足から、注文を裁き切れていないという話を聞きます。こういった技術職では、本来はある一定の周期で若者を入れて技術承継していければよかったのですが、この数十年間ですっかりそのサイクルも途絶えてしまい、困っているのが今という感じを受けます。

賛否両論ありますが、労働力不足は確実に進んでいるので、女性、高齢者、外国人の活用というのはこれから劇的に変わっていくのだろうと思います。(あと、IT活用による変化も)