計画を作るということ(その8):経営デザインシートの進め方について

2023-02-11移働する診断士

さて、いよいよ経営デザインシート(そちらの方面の方々はKDSというみたい)に話に入ってきました。

前回は、経営デザインシートについての大枠をお話ししました。おさらいですが、デザインシートは4つのパートに分かれています。一番上のビジョン(目的・経営方針)のパート、左が現在(これまで)、右が目標時点(これから)、真ん中がそのためにすべきこと(移行戦略)でした。

今があって、目標があってそれをどう繋ぐのか・・・・考え方はシンプルですよね。
では、これどう進めていったらいいでしょうか?

どのケースでも一番最初に考えてほしいのが、一番上のビジョンのパートです。ここは、なぜその事業をやるのかという、あなた自身お想いの部分なのでこれがブレるとこうじゃなかったのにという結果になりがちです。

さて、その次にどのパートを考えればいいのかになるんですが、以前説明したフォーキャストなのかバックキャストなのかと同じです。このデザインシートを活用するシチュエーションで変わってきます。大きくは、課題解決なのか新規事業なのかで別れるかなというのが感覚です。

課題解決の場合はフォーキャストなので左側で現状をしっかり洗い出します。この時に重要になるのが「弱み」の項目です。課題解決の場合はこの弱みの解決が重要だからです。

新規事業の場合は、バックキャストになので右側の目的を達成するために、その事業が軌道に乗った時の姿をまず描きます。これは、フォーキャストで考えてしまうと、既存のしがらみに囚われてしまうため、尖った発想で飛躍することができないからです。

この後に、反対側のパートを作っていきます。フォーキャストであれば課題解決した後のあるべき姿になります。バックキャストの場合は、そのまま素直に今の状況になりますが、この時はそこまで重要視しなくていいと思いいます。

この二つが揃ったら、真ん中のパートであるべき姿とのギャップを埋めるために必要なことをおこなっていきます。この時に、真ん中のパートの取り組みが現実的ではない場合は見直しを図っていきます。この場合の見直しはフォーキャストとバックキャストでその捉え方は変わってきます。フォーキャストの場合は未来の予測(課題解決)が甘いということになります。バックキャストの場合は、本当に到達することができないのか?(できるための方法の検討が甘い)のか、こうありたいということ自体のハードルがものすごく高いのではないかということになります。

以前お伝えした通り、現実はフォーキャスト的に現状からみたいを見ることと、未来から現状を見ることを何度も繰り返して、真ん中のパートと、右側のパートの見直しを繰り返していくことになります。ただ、できることを小さくしすぎて、あまりにも当初の目的を達成できないほどの内容になってしまうのは避けたいです。そのために、一番上の目標・ビジョンに近づくことができるのかは確認していくことが必要です。ここは、何度も経営デザインシートの作成に取り組むことでやり方のコツを掴めていけると思うのですが、そんなにこれを作る機会はないでしょうから、そこの支援として専門家を活用していくのは有効だと思います。

この経営デザインシートで、一番重要なのはどこかというと、左右それぞれにある、「価値」の部分です。この価値があるからこそ、そのビジネスの目標を達成できるし、ビジネスモデルが成り立つ(その価値を認める顧客がいるため、売れる)と考えられますね。

この価値の考え方は、基本的にはドメインで表現すればいいです。どういう人々に、どういう提供価値を、どのように提供するのかとなります。この価値が明確になると、そのビジネスモデルを外部に向けて説明しやすくなります。その辺りは次回ということで