制度融資について、その2

2023-12-10移働する診断士

制度融資についての話の続きです。

前回は、制度融資自体とどんなメニューがあるのかの話をしました。

制度融資の活用について

今では、数が少なくなりましたがコロナの初期、制度融資がそこまで定着していなかった頃には、「自治体が融資をしてくれる」と勘違いされて来られるケースがよくありました。こちらは異なっていて、あくまで、保証協会の保証つき金融機関融資の利用が前提です。なので、市中の銀行(都市銀行、地方銀行、信用金庫、信用組合 など)が融資してくれます。その時の金利の一部を市町村が補助してくれるのです。そのため、融資の時に上がる日本政策金融公庫からの融資には適用されません。言い方を変えると、現在の日本では、市中銀行の融資(保証協会を使うケースと使わないケースがある)と金融公庫の融資、そしてノンバンク系の3つの選択肢があると言えます。ただ、ノンバンクは利率も高く利用される局面も金融機関から全く借りられないというケースなので、通常は市中の銀行か金融公庫の2択になると言われています。利率に関してはZを活用する場合が一番負担が少なくなると言われています。

制度融資を受ける条件

では、すぐに制度融資を活用しよう。と思うのですが、ちょっと注意が必要です。

制度融資は自治体の産業振興のための制度ではありますが、その利用には各自治体毎に条件があります。

よくあるのが、その自治体に根付いている企業かどうかと言う視点です。こう書くと、どこまでやれば根付いていると言えるのか?と思いますよね。

多くのケースでは、その自治体に主たる事業場所(本社やメインの店舗)が1年以上あることにしています。法人でも個人事業でも1年以上営業していれば、地方税を納税をしているので、その証明書の提出がよく求められます。

支店の場合はどうかと言うと、ここは自治体で判断が分かれるようです。本店がないとダメというケースもあれば、支店でも登記がされていればOKというケースもあります。逆に本店は自宅で店舗が区域外というケースもまれにあります。

最近、増えてきているのが、シェアオフィス、コワーキングスペース、ヴァーチャルオフィスです。特にIT系など場所にとらわれない事業の場合の活用が盛んになってきています。主たる事業場所がインターネット上というケースですね。こちらも、自治体によって判断が大きく異なります。全てOKとしている自治体もあれば、ヴァーチャルはNG、全てNGと様々です。

上記で、納税証明書の話をしましたが、納税しているから制度融資を使えるわけではないのです。目を他の制度に向けて見ればわかるかもともいますが、それぞれの制度でその制度の利用資格条件というのは異なります。その自治体の制度上の条件に場所の制約があると捉えてください。

このケースでよく揉めるのが、自治体がOKとしたから良いというわけではないところです。金融機関でも保証協会でも、オフィス形態(正確には事業実態)については考え方が異なります。ヴァーチャルが自治体ではOKでも、金融機関ではNGというケースもあります。また保証協会は都道府県毎に異なるので、例えばA県が自宅でB県のヴァーチャルオフィスで同期してて、B県C市の制度融資を活用したけれど、B県の保証協会はNGとなり、制度融資は使えず金融機関経由でA県の保証協会でOKが出流ということも起こりえます。このように、シェアオフィス、ヴァーチャルオフィス周りは色々と条件が異なるので、融資を見据えて創業するのであれば、オフィスをどうすればいいかを考えてから進めた方がいいです。すでに起業済みでもこの条件に引っ掛かると受けられないリスクはあるため注意が必要です。ただ、なにがなんでも制度融資を使わなければいけないことはないので、割り切ることも時には必要ですね。

その3