規則は規則

移働する診断士

知らない間に時代は進んでいるモノで、当然あると思っていたものが販売停止になっていることがよくあります。

先日も、家族の具合が悪くなり電子体温計を使おうとしたら、何も映らなくなっていました。電池が切れたのかと思い、電池を買ってきて替えたところうんともすんとも言わず、結局壊れたみたいです。

生活用品の大半が電子化した今では、電気がないために全く使えないものが結構世の中には増えていますね。そこで、いっそのこと昔からあるアナログな体温計にしたらどうだろうとネットで探してみたのですが、出てくるのは電子式ばかり。それもそのはずで、アナログ式の体温計、現在は販売停止になっていました。理由は、「水銀」を使った製品の製造・輸入・輸出の禁止条約が2020年から適用されていたためでした。

これは、平成25(2013)年10月に熊本市・水俣市で開催された外交会議で「水銀に関する水俣条約」(Minamata Convention on Mercury)が採択されたことによります。この条約では、水銀及び水銀化合物の人為的排出から人の健康及び環境を保護することを目的に、採掘から流通、使用、廃棄に至る水銀のライフサイクルにわたる適正な管理と排出の削減を定めるとされています。

この対象製品には、電池、美白化粧品、蛍光灯や赤チン(傷に塗っていた)など、結構生活の中ではお馴染みだった製品も含まれています。

日常的に普通に使っているので当然あるだろうと思っていたものが実は危険だったということは、これまでも結構ありますね。すでに使っていたからすぐに体が悪くなるというわけではありませんが、このような話を聞くたびに「ドキッ」とするのは事実です。

さて、支援の場で最近多いのが、これまでの事業がうまくいかないからECをやってみようという話です。例えば、デザインなーをやっていたんだけど、健康食品を売りたいとか、アパレル業で化粧品も取り扱いたいとかいう話です。

ECが手軽にできるようになったので、多くの人々がこの分野に参入しつつあるます。特にコロナの時期は盛り上がっていました。ただ、取り扱う商品がそのまま売れるかどうかにはちょっと注意が必要です。先ほどのすでに販売が禁止されている商品をこれから売ろうとすることはないでしょうが、健康食品や化粧品の場合はその商品の成分によっては薬事法が絡んでくることがあります。また、アルコール類の販売には免許が必要になりますし、ユーズド製品を販売する場合は古物商の認可が必要になります。この辺りは、知っていれば当たり前ですが、関わったことがなければ全く知らない領域ですね。なので、販売する場合には一度は有識者に確認しましょう。

また、物販に限らず事業再構築補助金などで新分野に進出するケースも増えてきました。この業種によっても許認可や届出を必要とする業種が結構あります。某所で仕事をしている時に、事業ごとにどれが許認可が必要でどれが無くても良いかという判断に迷うケースが結構あります。一応、それらを取りまとめた冊子が置いてあるのですが、結構な厚さで「世の中にはこんなに許認可の類があるのか?」とびっくりすることがあります。

当然、許認可によっては届け出ればほぼ100%通るものもたくさんありますが、中には専門の資格保有者がいなければならない業種(旅行業、旅客運送業、士業、などなど)もあるので、「いいアイデアが生まれたからすぐにやろう」と思っても、許認可を取るハードルが高くて諦めるというケースもあります。そして、法制度上特定の資格保有者が数名いなければ営業を認められないと言う業種もあります。人手不足の時代、この辺りは高齢化や退職も相まって、既存事業者でも結構苦労しているようです。