昔の映画から時代を知る

移働する診断士

いろんな本を読んでいると「歴史に学べ」ということが書いてあります。世界がどうやって今に繋がっているかを知ることで、これからの社会がどのようになっていくのかを予測することができるからですね。

先日の国際部で主催したセミナーでも、ポストSDG’sというテーマでしたが、世界が同じ方向を向いた最初の国連採択である、「人権宣言」から「SDG’s」に至る歴史を紐解きながら、2030年後のポストSDG’sを考えるという内容でした。日本の経済は失われた10年が20年になりそろそろ30年になります。だいぶ長期にわたるので、逆に良い頃を知る人が引退する時期に差し掛かり、すっかり人々の経済に対する意識が後ろ向きになってしまったという話も聞きます。

バブル期は前向きすぎて浪費しすぎたとも言えますが、今の状態は世界的に見ても貧乏な状態に向きつつあり決して良い状態ではないと感じています。ほどほどが良いということですが、このほどほどに戻すためには、ある程度経済が好転しないといけないのも事実です。

診断士試験の科目で経済学というのが入っているのですが、当時は「なんでこんなことを学ぶのかなぁ」と思っていました。実際に当時診断士の方から「経済学は試験の時だけで、実務ではあまり使わない」という話をされていました。確かに、実務という面ではそこまで必要にはなりませんが、時代の先を読むためには必要だと最近感じています。

さて、過去から未来を学ぶ時に、参考になると思ったのが過去の映画です。動画も最近は遡れば明治時代の東京のもの見られたりはするのですが、映画の方が当時の人々がどういうことを考えていたかが伝わるのではないかと思ったのです。というのも、特に60年代以降の映画は人々に面白さや夢を与えるものが多く、当時の社会的なニーズや文化をその中から読み取ることができるのです。

意識して時代別に並べて見ていくと、技術発展やその時の流行、その頃に考えられていた20年、30年先の姿を知ることができます。特に、特撮ものはいずれそうなるだろうという予測をもとに作られているので、その中でも実現したこと、まだまだ実現しないこと、絶対に実現しないことが読み取れます。面白いと思うのは、技術的なことの多くは実現されていて、しかも当時の想定よりも小さくスリムなものになっているということ。それだけ、特にIT周りの技術のスピードは早かったと言えるのでしょうね。

一方で、宇宙旅行などはまだまだ時間がかかりそうです。宇宙ものの映画が全盛期は各国が宇宙開発に多くの投資をしていた時期で、技術のスピードも早かったのですが、スペースシャトルの失敗から停滞したために当時想定していたよりはゆっくりになってということだと思います。ここにきて、民間主導で進み始めていますが、当時の宇宙開拓的なニュアンスよりは様々な研究や技術、通信という実務的なニーズに応える形なのでその内容もだいぶ変わっていますね。

社会も全く変わってきました。当時の映画の表現が現在の社会には合わないために、セリフが差し替えられたり、普通には入手できないものも出てきていますね。一番顕著なのは、差別的な表現に対するものが多いと思います。ただ、その当時の社会を知る上では貴重なものなのと、映画は一種のアートでもあるので、全てを批判というふうにはできないともいますし、そこから未来を考えるきっかけにもなりますね。

私個人としては、007シリーズが同じようなプロットで数年おきに作られ続けてきた映画なので、時代の流れを追いながら定点観察できて面白いと思ってます。あと、主人公がスパイなのでその当時すごいと思われたギミックもふんだんに使われているのと、映画のテイスト自体が娯楽を求める時代なのか?シリアスを求める時代なのか?が顕著に現れて面白いと感じています。

時代の流れの中で人は生きているので、今がどういう時代でこれからどうなっていくのか?当てる必要はないけれど、考えていくのは有効ですね。