日本の森巡り第3回:森の建築への活用、森を巡る旅へ

2010-01-24移働する診断士

前回までは日本の森だけで無く、外国の森も荒らしていることを書いてきました。
今回は、日本の森を一番多く活用できる住宅利用の動きについて話をしていきます。

5.住宅への活用

森を守るため

森を守るためには、その森の木を使っていくことが大切です。ではどうしたら木を使っていくことができるのでしょうか?
木を一番消費するのは建築です。木の家を建てることで適齢期のイキの良い木材を使うことができます。(戦後、日本の森には一斉に杉が植えられました。その杉、花粉症と言う弊害も生んではいますが、ここに来て一斉に適齢期を迎えています)
そこで、木の家をたくさん建てることで森の循環サイクルを促し、日本の森が守られていくと言う仕掛けです。
しかしながら今、家を建てようとしてたときに、使っている木がどこの生まれかと言うことを知るのは、なかなか難しいのが現状です。
それは商品とし家を買うと、複雑に絡んだ流通構造については知ることがあまりできないからです。なぜこうなっているのでしょうか?

日本の住宅事情

そもそも日本は木造文化の国であり昔から森の木を使って家を造ってきました。戦前まではごく普通に近場の山の木を使って家を造っていくことは行われていました。これが地域毎に特徴のある集落や街並み景観を作り出していたのですね。しかし戦後になり戦争 復興や都市集中による住宅不足がおこり大量のバラックに対して最低基準を定めた「建築基準法」の制定や、高度成長期を通した経済優先の世の中の流れにより 住宅の商品化が進められたこと。そして日本の森にとって一番の打撃だったのが、アメリカからの要望による木材の自由化に伴ない大量の安い外材が日本に入っ てくるようになったことです。
そして気がつけば、昔ながらの住宅は古くて暗いイメージが付きまとってしまい、外材や新建材を使った細い柱と印刷技術の進ん だ安い住宅商品が世の中にあふれるようになりました。こうして現在では家は「建てる」から「買う」に変化してしまいました。家本来の質ではなく立てたとき の明るくて綺麗な薄っぺらい家を好むようになってしまったのです。(多くの人が家を買える様にしたと言う意味では、否定できない部分ではありますが)そし てこのような家はたいてい10年で色あせてしまい30〜40年持てば良い方です。(要は次々と買い替え<スクラップアンドビルドとも言う>を促す家)

このような理由から、日本の森は使われなくなり、担い手の林業も衰退し各地に放置林が増えた結果、森自体が高齢化への道を歩んでいってしましました。

そういった中、90年代のバブル崩壊後位から、昔ながらの日本にあった住宅を求める動きも出てきました。

新しい動きへ

それは、スクラップアンドビルドではなく、永く住み手に愛される家づくりをめざす工務店、建築家、林業者達が出てきたことです。
昔 ながらの家づくりと言っても、暗くて寒家ではなく現代に合わせて改善されたもので、内部は明るく、夏は涼しく冬は暖かい(床暖房や薪ストーブが多く使われ ている)家が設計されてきています。当然その家の材料には国産材が使われることが多く、しっかりとした材を使っているので、構造的にも安全で数世代に渡っ て住み続けることのできるものとなっています。
ではこう言った家を見てみたいと思ったらどうしたらいいでしょうか? 一番手っ取り早いのは、雑誌です。有名所ではチルチンびと、住む、等がありますし専門誌になりますが、住宅建築なども参考になります。実際にその様な家づ くりを行っている工務店・林業者としては、知り合いのところで恐縮ですが・・・栗駒、紀州、オークビレッジ、奥多摩にもあったね。匠の会があります。実際 に首都圏でもモデルハウスとして見られるのが、東京三鷹の住宅公園にある、四季工房(田中敏溥氏 設計)などもあります。今度の休日に除いてみてはいかが でしょうか?
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こう言った家に住んでみたいとは思いませんか?
本来の家は人と自然を取り持つ家
日本の自然に育まれた材を使った家は住み心地もよく、人にもいい影響を与えてくれます。
住み継ぎが出来る家
30〜40年で悪くなってしまう家ではなく数世代にわたって住み続ける事が出来る家。これが本来の家ではないでしょうか?
骨組み等の再利用
本当にいい材は何年たってもいいものです。(古いものにも価値はある)そういった材を再利用して家を立てては見ませんか?
家は変われど、昔からの息吹を感じる家づくりが可能です。
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6.山への恩返し

家づくりは一生に一度の事。それ以外でも気軽に日本の森を守ることに参加することは可能です。
例えば、エコラ倶楽部と言うNPOでは、住宅用に伐採したらその分の植林を実施したりしています。また昔から日本のあちこちへ存在する雑木林の保全等も各地で行われています。都道府県が主催していることが多いので、各都道府県のサイトを参考にしてみるのも言いと思います。
私が参加しているつくばの「雑木林で遊ぶ会」もそういった物の一つです。
また林業の就職をお考えでしたらRINGYOU.NETなどが参考になります。

日本の森を守ることで世界の森も守れます。興味があったら是非、できることから参加してみてはいかがでしょうか?ひとりひとりが出来る小さなことの積み重ねが必要です。

日本の森巡り

第1回 森林がなぜ必要なのか、日本の森の現状
弟2回 日本の森で起こっている事、外材問題
弟3回 森の建築への活用、森を巡る旅へ