創業のタイミング

移働する診断士

融資相談窓口でのこと、週に一回一日に数名の事業者の方から相談を受けるのですが、そこが融資の相談も受けている関係で、やはり数の多いのは融資相談になります。その中でも最近数が増えてきたと思うのが、創業融資を受けたいというもの。

通常の融資では、何を持って融資可否を判断するのかというと、会社の決算書になるのですが、創業の場合はまだスタート地点。なので会社の決算書は存在しません。そこで、その事業者の方が何をやろうとしているのか?と、その計画はどうなのか?実現度は高いのか?と言ったところから、必要なものに対して必要な分だけ融資されるイメージです。とは言え実際に事業が始まり決算を重ねた状況で厳しくなると融資の審査も厳しくなるので、創業計画書だけである程度の融資が受けられるところはチャンスですね。

とは言え創業融資は、適用範囲がものによって様々で、例えば自治体の創業融資だと創業から1年以内が多く、公庫は概ね7年をその対象範囲にふくめているみたいです。

ちなみに、創業のキーワードでは、創業助成金や、小規模事業者持続化補助金の創業枠などあり、それぞれ創業の規定は異なるので、一口に創業と言ってもかなり幅が広いとこの仕事をやっていても感じますね。

もうひとつ、よく創業で問題⁈になるのが、創業はどの時点かということです。

先日も窓口に創業で相談に来られた方とお話ししていて、よくよく確認していくと創業に該当しないということがありました。これは私が担当しているところでの話ですが、創業融資斡旋の条件に、「創業時に事業を営んでいない個人」と定義がありこれに該当しないでこられるケースがほとんどです。

具体的に言うと、本人は一年以内に創業したと思っていたのに、それ以前に事業所得があった(開業している)と言う場合ですね。

例えばよくあるのが、場所を借りて美容師をやっていて今度店舗を持つために起業したと言うケースや、フリーランスでITエンジニアをやっていたけど法人を立ち上げると言うケースが該当します。どうしても創業というと店舗を持ったり、会社を立ち上げたりするタイミングを指すと思われがちですが、事業所得(売上)が一円でも入ってきたタイミングを創業とみなしています。

通常、このケースは個人事業主として事業をされているケースが該当してて、開業届を提出したタイミングを創業と考えればいいですね。また、開業届を出していない場合です、税務署としては確定申告で事業所得を上がったタイミングで開業されたとみなしています。

なので、本人は創業と思っていなくても実は創業済だったということが起きるんです。

さて、では個人事業主が法人を設立する場合はどうでしょうか?これは個人事業を残すかどうかで扱いが変わってきます。同じ事業を法人化する場合は法人なりとなるため、法人を設立してから、個人事業を廃業します。廃業時には廃業届を提出となります。個人事業の資産等は法人に引き継ぐ形ですね。

法人なりでないケースは、法人は設立するけど廃業届は出さずにおきます。ただし、本来であれば事業が同じであれば法人なりすべきところですね。なので、個人事業と異なる事業を法人で行う場合が該当します。

では、一度個人事業を開業した後でサラリーマンへ戻るケースはどうなるかと言えば、これは廃業届を出すことになります。この数年後に会社を退職して開業(法人設立)したいという場合は…創業にあたります。また、法人なりの時に、先に廃業届を出してから法人設立した場合は、設立時に経営していないことになるので、こちらも創業にあたります。

あれっ?

このように、個人事業の状況によって創業している稼働化が変わってくるわけです。