まちのこと

2023-06-09移働する診断士

私の仕事は、ズバリ外回りが中心です。
営業ではないのですが、基本的には支援企業先に出向いて色々とお話を伺うのがそのメインだからです。
特に、私は都内の城南地区(私の商圏がまぁ、城南地域中心の組織にいることもあって)を中心に平日の街中をよく歩いています。

会社員時代は、基本的にオフィスにこもっての仕事だったので、平日の昼間の街中がどうなっているかのイメージは全くなかったのですが、こうして外回りの仕事になると、毎日新たな発見があって面白いです。独立してだいぶ経ちましたが、こうやってフラフラすることも板についてきました。

東京都一口にいっても、地域によってだいぶ特性が異なることにまず気が付きますね。区ごとの違いもそうですが、同じ区内でも地域によって全く違った顔を見せます。とはいえ、山手線の内側に近づくほどに再開発が激しいことは感じますし、庶民には手が届かない地域も増えてきます。

1日に数件の訪問先があるときは、その訪問先の場所に応じて数キロであれば歩いてしまっています。(流石に真夏の時期は汗を相当かくので、訪問先に失礼と交通機関を使いますが)交通機関を使った移動は点と点の瞬間移動に近いので場面が急に切り替わる雰囲気がしますが。歩いて移動すると徐々に街並みやそこで暮らす人の雰囲気が変わっていくのが面白いと感じています。また、交通機関だと遠いと感じていたところが、実は歩いても変わらなかったりという発見も面白いですね。(例えば、下北沢と三件茶屋や、品川と大崎など)

東京という街は、戦争があったことで戦前の街並みが一変したと言います。そして80年代以降の再開発の波で更に街の顔貌は変わりました。私が記憶のある80年代〜90年代と比べても都内様子はだいぶ変わりました。個人的には古い街並みが好きなので、昭和以前の色気のある建物がなくなり、平成以降のガラスをふんだんに使ったスタイリッシュなビルに変わっていくことに少し寂しさを感じます。そういった変化は、都心のターミナル駅を中心に至る所で進んでいますね。今は渋谷が大きく変わってきていて、渋谷駅の旧東急百貨店の銀座線のあたりの昭和チックな雰囲気も消えてしまいました。かろうじてJRから井の頭へわたる石造の階段が残っているくらいでしょうか。また、高級住宅街といわれる地域でも大きなお屋敷が更地になり、狭小住宅として売られていったり、大規模マンションに変わっているのを歩いていてよく感じます。経済的には新たな付加価値を生んでいるのでしょうけど、気持ちとしては残念ですね。

私の知り合いの美容院の会社経営者の方が、新規出店をする時には、事前に1年ぐらいかけてその候補地の街をプラプラしていたと話していました。季節ごとに1日で歩いていると、その街の雰囲気や、どういった客層がいるのか?この場所に店舗を出したらお客様がくるようになるのか?お店の雰囲気にマッチするか?既存店との距離から運営で問題はないだろうか?などなど、その方の五感をフル回転して場所選定を行なっていたようです。なので、すでに数店舗をある程度の期間をかけて出店していますが、その場所自体が外れるということはないように見えます。店舗出店はその街と共に商いをすることになるのでとっても重要です。

街の商いの代表といえば商店街ですが、こちらも年々縮小して行っています。私もいくつか支援しているのですが、どちらも役員の高齢化と新規出店の減少、若い出店者が加盟してくれないという共通の課題を抱えているように感じています。商店街という役割自体が、スーパーやデパートに取って代わられ、個店として存続するのもチェーン店か若者向けの飲食が中心になってきていて、日用品を買う場としての機能が徐々に低下しているように感じています。(と言いつつ私が住む地域は商店街自体がほぼ存在しない新興住宅地)

そうなってくると、街の特徴が徐々に失われているのも事実で、機能的には問題ないように思えるのですが、街中での人と人とのコミュニケーションが減少していることが、心を貧乏にしていく面があると感じています。

だから、商店街支援をしてなんとかしたいなぁと感じているところにも繋がるんですけどね・・・