外国人観光客と経済

移働する診断士

旅行業関連の支援をしていると、特定の国の旅行を取り扱っている会社から、その国の事情を教えてもらえることがよくあります。

そんなかなで知った話をひとつ。

今、国内はコロナ後のインバウンド旅行客が大量に戻り始めていて、都内の主要な街でも観光客をよく見かけます。日本政府観光局(JNTO)が毎月出している統計では、2023年10月期の訪日外客数は2,516,500人と2019年10月期に比較して108%とコロナ以前以上の数の観光客が日本に押し寄せている(という表現があっている)ことでした。

この背景には、コロナによる渡航規制人々の外国へ行きたいという溜まっていた欲求が解放されたことと、日本がものすごく外国人にとっては安い国になったことがあると思います。特に、日本の物価安は世界的にも有名で、高級ブランドが日本で買うとかなり割安で手に入ると買い物目当ての来日もある様です。(この辺りは、テレビで頻繁に特集されているとおり)

旅行業界にとっては、一気に外国人が押し寄せてきたことで、国内の宿泊施設やバスなどの運輸が一気に不足しているため、それらの値段がかなり上がっています。これに加えて、人手不足が深刻なので、供給しようにも供給できない状況で、今後もさらに価格が上がる可能性はあります。日本人が宿泊施設を利用しづらくなる状況が生まれてきているとも言えますね。もちろん、海外からの本当の格安旅行狙いは難しくなっていきます。

外国人旅行客自体が多くきてくれることは、消費活動につながので国全体にとっては海外からお金が入ってくると言えるので良いことですが、日本の物価が低いから外国人が増えているということを考えると、日本経済が世界のなかでも落ち込んだまま浮上しないことが露呈しているとも言えます。それだけ世界との経済格差が広がっているということで、ここは、なんとか賃金を上げようという流れを政府は業界団体を巻き込んで作ろうと旗を振っているのはご存知の通りですね。

そのためには会社の経営状況が良くならなければならず、そのためには消費が必要で、人に消費してもらうためには賃金が上がらないといけない。ぐるぐる回ってしまっているのですが、この会社の経営状況が良くなるきっかけにインバウンド需要の取り込みは有効だと思います。

さて、もう一つ統計情報から気になるのが、中国人旅行客の戻りが遅れていることです。

中国に関しては、「2023 年 8 月 9 日まで中国文化旅游部より日本行き団体旅行・パッケージツアー商品の販売禁止措置が継続されてい

た。」関係もあり、まだ戻りが遅く訪日外国客数も256,300 人(対 2019 年同月比 35.1%)と伸び悩んでいます。コロナ前は爆買いで話題になり、日本の宿泊施設も中国系の団体旅行会社にかなりの数を抑えら得ていました。この状況が一変していると言えます。

中国に詳しい方と会話していて、中国自体はコロナにより経済を止めていたために、経済成長が止まり、消費活動も厳しくなっているそうです。国が賃金自体も抑えてくるのでないかとのこと。
そういうことができるのが中国政府とも言えますね。なので、先ほどの通りこれまでは中国人旅行者が日本の観光業の中でも結構な割合を占めてたのは、コロナ以前は中国の富裕層から見て日本が安いという状況もあったのが、中国人自体の経済力も厳しいのでどこまで戻るのかが怪しいというのが現状とのことでした。

とは言え、2019年比で全体が増加している状況でまだ中国が戻ってきていないことを考えると、本格的に中国人旅行客が戻ってくるとさらに国内の旅行関連業の供給不足が高まるのではないかと予測されます。