事業再構築補助金が第10回から変わります

2023-02-23移働する診断士

2023年度の事業再構築補助金はこれまでとだいぶ内容が変わります。これまでお馴染みの再構築補助金も3月24日の第9回まで一旦終了し、4月以降に締切が来る第10回からは新しい内容となります。その概要は昨年秋口に出されていましたが、詳細情報も経産省のサイトに掲載されていますね。

ちょうどこの時期、いくつかのクライアントさんからも第9回の事業再構築について話が来ています。既に第9回で行くという事業者様もいれば、第10回以降の方が条件がいいからとそちらに申し込みを考えている事業者様もいます。さて、では今回は何がどう変わるのでしょうか?(ちょうど、とあるクライアントさんに説明しようとしていたので私自身の説明用としても・・・・)

今回の枠について

先ほどのリンク先にある上記表が23年度以降の全体像になります。だいぶこれまでと様相が異なりますね。これをみてていて、「通常枠」と「緊急事態枠」を探す方が多いのではないでしょうか?このどちらも書かれていません。でもご安心ください。「通常枠」は「成長枠」へ、「緊急事態枠」は「物価高騰対策・回復再生応援枠」へと名前を変えて残っています。ただし、細かいところが少しずつ変わっているので注意が必要そうです。

中でもユニークなのは、「産業構造転換枠」と「サプライチェーン強靭化枠」でしょうか。

「産業構造転換枠」

対象とする業種・業態が特定の10年で売上高10%以上減少する場合に、他の業種・業態へ転換するために行う事業が対象となります。これまでの業種転換・業態転換の累計が枠として独り立ちした感じですね。どの業種でもいいと言うわけではなく、実際に縮小しているものであることがポイントかと思います。転換先の業種・業態については明記されてませんが、成長性は求められるのでそこで転換先は絞られてくるのでしょうね。

①過去~今後のいずれか10年間で、市場規模が10%以上縮小する業種・業態に属していること ②地域における基幹大企業が撤退することにより、市町村内総生産の10%以上が失われると見込まれる地域に 属しており、当該基幹大企業との直接取引額が売上高の10%以上を占めること

「サプライチェーン強靭化枠」

こちらは、生産拠点の国内回帰を主軸としした製造業向けものですね。ただ、要件がちょっと難しそうではあります。また、海外の工場は閉じなくて言いそうです。金額も大きいのと、DXへの取り組みなどそれなりの規模の中小企業が活用するイメージです。(一瞬、アパレル卸売行などが使えないかと思いましたが難しそう)

海外で製造する部品等の国内回帰を進め、国内サプライチェーンの強靱化及び地域 産業の活性化に取り組む事業者を対象

売上減少要件

まず、これまでの事業再構築補助金では一部の枠を除いて「売上減少要件」がありました。

特定の時期以降の売り上げが以前と比較して10%以上減少していること

この売り上げ減少要件が必要なのが上の図で言うと「業況が厳しい事業者向け」と書かれている、「最低賃金枠」と「物価高騰対策・回復再生応援枠」のみとなりました。これにより、「通常枠」の後継にあたる「成長枠」では売り上げ減少していなくても申請できるようになったのは朗報ですね。実際に、コロナ後の回復が早く事業再構築補助金を活用できないと言う方もこれまでは多くいましたので、使い勝手が良くなった面です。

事前着手

一方で、事業再構築補助金が使いやすい理由になっていた、事前着手の範囲にも変更がありました。それは、「成長枠」では事前着手が認められないと言うことです。この点は注意が必要す。既に進めてしまった事業に対して事業再構築補助金を活用したいと言う相談はよく聞きますが、これからは交付決定されてからでないと事業を開始することができないからです。これまではコロナ禍であくまで緊急対応として事前着手が認めてられていたと言う意思表示かと思います。これからは、「計画をしっかり立てて、事務局がそれに対して認めたものを基本的に対象にします」と言うことですね。とは言え、早急に改善が必要な、「最低賃金枠」、「物価高騰対策・回復再生応援枠」、「サプライチェーン強靭化枠」は引き続き事前着手が可能です。ただし、2022年12月2日以降のものしか認められないので注意しましょう。

細かいところをみてくと、これ以外にもいろいろあるのですが、一番大きなところはこれくらいでしょうか。
もっとも、補助金のために事業をやるのではなく、会社の課題解決と補助金のテーマが合致したからやるのがいいと思いますね。