BPS診断への期待

2023-01-29移働する診断士

先日、私が所属する東京都診断士協会城南支部の会員向けに新年の集いという会がありました。この席上で、これまで僕らの診断士としての仕事は問題が既にある企業の支援がメインだったが、これからは真の課題を炙り出して企業を支援していく時代に入ったという話がありました。このために、東京都診断士協会では、BPS診断というプログラムがはじまります。まだサイト上にはチラシが掲載されているだけですが、裏では特任チームがこの診断を活用できる環境整備を進めていると聞きます。

ちょうど1週間前に公的プログラムで支援した企業様と数ヶ月ぶりににお話しする機会がありました。そのときにも、「何か頼もうと考えていたが、何を頼んでいいかわからない」という言葉でした。特段問題がある企業様ではなく、事業自体はコロナの影響はあるものの例年通り順調に進んでいるので、あるとしたら、漠然とした将来に対する備えが必要だろうというところでした。この、漠然とした将来に対する備えといっても幅が広くなります。この部分を上記のBPS診断で炙り出せるのではとちょっと期待しています。

目を医療に例えてみるとわかりやすいかと思います。近年、医療分野では予防医学が進んできています。これは、症状が出てから治すのではなく、出る前から出ないようにするためにさまざまな取り組みを行うことです。この予防医学に加え、皆さんが毎年受ける健康診断で状況を日々把握していっていますね。また、健康診断の結果は予防医学にとって大切なデータでもあります。健康診断の結果から傾向と対策や未来の病気の可能性を予知できるからです。

経営も同じです。診断士が経営者の方と対面するきっかけは公的機関が多い(補助金は別として)と思います。このケースでは、既に何かしらの問題が明確になっている段階のことがほとんどなので、改善提案ありきでわれわれも取り組むことになります。また、問題が出ている状況では経営に必要な資源も十分にないケースがほとんでおです。この様に既に問題が出ているので改善まで持っていくのには労力も時間も多くかかります。だから特段症状が出ていない時から事業の状況を定期的多面的にチェックを行い、長期的に潜んでいる問題・課題を把握しながら、中小企業にとって本当に必要な競争力(BPS診断では裏の競争力と言っています)をつけていくことが重要になります。

中小企業診断士は企業のことを診断して、助言を行うことが求められています。このBPS診断について、数ヶ月前に東京都診断士協会の森川会長からお話しを聞いたときに「本来は助言のための診断をやってしまっている」ということを話されていました。これは、耳が痛いところがあります。既に問題・課題があると相談に来る経営者の支援ばかりやっているために、経営者のお話を聞いて表面的にわかりやすい部分の手当に走ってしまうことがままあるからです。こうなる理由の一つとして公的機関の支援の場合支援できる回数が限られており、その中での何かしらの改善が求められることと、相談に来られる事業者様もかなり状況が厳しいケースが多く、できることも汎用的な改善になりやすいためです。しかし、本来の我々の仕事としては、事業を経営者が目標とするところへ到達させることであり、そのために必要な状況を作るための支援を常におこなうことです。

BPS診断の詳細がまだ手元にないので、おいおい当サイトでも紹介していきたい(私も取り扱う予定)と思いますが、チラシを見る限りでは、私が取り扱っている「知的資産経営=目に見えない経営資産の強化」にもつながっている気がしています。

と書きつつ、最近個人的にツボにハマったのは、Sekai No OwariのHabitという曲の歌詞だったりするんですけどね・・・・