制度融資について、その3

2023-12-14移働する診断士

前回からの続きで、制度融資のはなしです。

金融機関を選ぶ時の注意

制度融資は、自治体と金融機関(市中銀行)と保証協会(プロパーでも可能なケースもあるみたい)の三者が連携した制度になっています。なので、対応しているエリアが決まっています。例えば、東京都港区の制度融資であれば、保証協会は東京信用保証協会、金融機関は港区と提携しているところになります。これが、東京都武蔵野市であれば東京信用保証協会と武蔵野市と提携している金融機関になります。川崎市だと、神奈川県信用保証協会と川崎市と提携している金融機関になります。それぞれの機関で制度に対する取扱い条件は異なっているので注意しましょう(前回までに説明してきた話です)

提携している金融機関は各自治体の制度融資のwebサイトやパンフレットに記載されています。概ねそのエリア内とその周辺の金融機関の本支店になります。ただ、エリア内全ての金融機関の本支店が使えると言うわけではないので注意しましょう。あくまで、自治体との契約は店舗ベースになっているので同じ自治体に所在している金融機関でもA支店は使えるけど、B支店は使えないということもあります。

現在取引先の支店が制度融資に対応している場合は、基本的にはその支店へ融資の申し込みをするときに制度融資を使いたいと担当者に相談するといいでしょう。全く口座を持っていない場合、支店を変えたい場合は、口座開設からになります。この場合、自治体へ先に相談に行くのか、金融機関へ先に相談に行くのか判断が分かれるところです。申し込みには自治体が発行する融資あっせん書が必要なのですが、あっせん書は申し込みをする支店宛となります。なので、この時点でどこの金融機関にするかは決めておかないといけないのですが、金融機関側が受け入れてくれるかは別の話です。なので、先に金融機関と話ができるなら、申し込みの意思を伝えてから、自治体へ申し込んだ方が効率的な気がします。ただ、金融機関によっては、先に自治体へ行ってくださいと言われるケースもあります。このケースでは、金融機関の内部のルールによる場合と、自治体では大抵内部で斡旋して良いかの審査を専門家が行なっているので、そこのフィルターを通してからきて欲しいと言う意図があります。なので、どちらが先がいいかは一概には言えないのです。

よく話に出るのが、あっせんの申込時に面談がある場合に、その担当者に「どこの金融機関がいいですか?」と質問するケースです。これは、答えはありません。と言うのも、これは相性(金融機関やその担当者との)に左右されることが多いからです。なので、迷っているならばいくつかの金融機関へ直接足を運んで話を聞いてもらって反応の良いところを選ぶのがいいです。一点だけ注意が必要なのは、都市銀行は中小が借りにくく、都市銀行<地方銀行<信金・信組となっているという話。一般的にはその通りですが、都市銀行でも貸してはくれます。ただ、信金等では支店ごとにエリア担当を敷いているので、事業地と異なるところでは申し込みができなかったりします。

目的に沿って活用しましょう

制度融資はあくまで自治体が産業振興のために地域に根差した企業を助けたいと言うことで取り組んでいる制度です。なので、基本的には経営基盤が弱い企業向けと考えています。比較的基盤もしっかりしていて、資金も潤沢にある企業が、お金を借りる時の有利の制度なので使い倒そうと言うケースもありますが、その場合は本来の趣旨とは合わないので注意しましょう。

自治体の各制度にはきちんとコンセプトがありますので、それに合わない場合は断られることもあります。たとえば、原油・物価高の対策のメニューなどは原油物価高に起因して昨年対比での売上減少が要件だったりしますが、単に売上が下がったのを理由に申し込むと断られますので注意が必要です。