中小企業白書2023の概要案が出ています。その3

移働する診断士

前回からの続きですが、続いてのテーマは、「地域の持続的発展を支える事業者(地域課題解決等)」となっています。

こちらは、小規模事業者白書でまとめられていくものですね。なぜ小規模事業者がターゲットになっているのかというと、ここで指す地域と言うのが、人口密度の低い地域で、そういったところの担い手となっているのが、小規模事業者だからです。地域に根ざした事業者という見方ですね。これらの企業はヒトモノカネといった有形資産は少ないものの、小回りが効いて地域との連携も取れていることと、何よりもその地域のことをよく知っているうえ、地域にとって有益なことを可能にできます。そのために、地域の持続的発展のためには小規模事業者が担い手となって地域課題解決を進めていくことが重要としています。

地域課題の一番最初に上がるのが、人口減少です。なぜ人口が減ってしまうのかといえば、その地域で生活するのが不便になるからです。例えば、自治体サービスの問題、買い物弱者の問題、インフラの問題などが挙げられます。これらの課題解決のために、地域に根ざした小規模事業者がITの力やこのネットワークを活用して解決していく事例がここではいくつか挙げられています。地域の課題は、その地域内のみで解決するのではなく、他地域との連携を小規模事業者がハブとなって実現する事例もいくつか挙げられていました。また、事業者側もこういった地域課題解決に意欲的な企業が多いみたいです。このような企業が増えることで、地域での働き口も増えていくことができます。そうすると、若者が地域に住むことでお人口減少も食い止めることにつながりますね。

しかし、小規模事業者が何か事業を進めるためにはどうしても資金が足りない等事実があります。そこで進められているのが、資金調達時に、資金提供者に対してもその事業の社会的意義を説明して、単に資金を出してもらうだけでなく、強力な事業支援者として巻き込んでいくことが、成功のためには重要になってきています。また、一つの地域で成功モデルを作り上げた事業者は、同様の地域課題を持つ他地域へも進出して、ノウハウを活かして社会課題解決にあたることで、事業収益も高めていく例が多いみたいです。もうひとつ、地域課題解決に必ず必要なのが地域の自治体との連携ですね。特に、当該地域における課題認識や豊富な情報は自治体が保有していることが多く連携することは必須です。一方で、自治体ならではの予算ベースで動くところから、スピード感がないところは依然課題となっているようです。

マクロ視点では、こういった事業に対するインパクト投資の数が増えていることが挙げられていました。こちらは、今後伸びていくことが期待されています。

地域と言えば、もう一つの主役が商店街です。商店街は地域に根ざした組織としての力が期待されています。単に昇竜を確保するだけでなく、今後も地域経済の担い手として地域を支えていくことが求められています。また、単に商流確保だけでなく、地域における社会課題解決の機能としての役割求められてきています。また、商店街自身がこれからの社会の中での自身の位置付けを模索しており、様々な社会貢献活動を進めているケースも多くあります。購買活動の場として、地域の賑わい創出、自治会活動、地域活動の担い手、街の中心となる顔としての役割などが期待されています。

地域が見捨てられそうという話が出てきてからだいぶ時が経ちました。当時に比べれば地域課題解決にあたるユニークな小規模事業者が増えてきたと思います。また、コロナを経て地域移住などの流れもありました。これからの時代が地域の時代と言われています。白書でもここを重要視していますね。